ダンベルアーノルドプレスの効果｜どこを鍛える種目？

ダンベルアーノルドプレスは、代表的な肩トレである「ショルダープレス」を応用した種目で、肩の筋肉「三角筋」と、腕の筋肉「上腕三頭筋」・「上腕二頭筋」といった肩から腕の筋肉を鍛えることができる種目です。特に男らしいがっちりとした体型を目指したい方におすすめの肩トレ最強のトレーニング種目です。

ダンベルを押し出すプレス系の種目は高重量を扱えるため、効果的なトレーニングができる一方で怪我のリスクがあります。安全にトレーニングを行うためにも、正しいフォームで行うことが重要となります。

ダンベルアーノルドプレスには、椅子やベンチに座って行う「シーテッドスタイル」と、立って行う「スタンディングスタイル」がありますが、本記事では座ることで身体を安定させられる「シーテッドスタイル」をご紹介します。

スタンディングスタイルとシーテッドスタイル

▲スタンディングスタイルとシーテッドスタイルの違い

アーノルドプレスのメリットは？

大きな可動域を使うことができる

アーノルドプレスは「ショルダープレス」よりも大きな可動域を使うことができるところがメリットです。アーノルドプレスのほうが下げることのできる範囲が大きいので、ショルダープレスよりも可動域を大きくとることができます。この特徴によって筋肥大や筋力アップを目指したい場合、より効率的に筋トレの効果を得ることができるでしょう。

アーノルドプレスは肩のどこに効くの？

筋電図を用いた研究結果[1]によると、ショルダープレスと比べて、アーノルドプレスのほうが「三角筋・前部」を鍛えるのに効果的だったというエビデンスがあります。「三角筋・前部」は肩の前方に位置していて、鎖骨の外側から上腕骨に走っており、この二点を近づけたり、離したりすることにより強い刺激を与えられます。

参考記事

[1] Comparison among the EMG Activity of the Anterior Deltoid and Medial Deltoid During Two Variations of Dumbbell Shoulder Press Exercise

コンパウンド種目のため、広範囲の筋肉を同時に鍛えられる

トレーニング種目には、アイソレーション（単関節）種目と呼ばれる１つの関節のみを動かす種目と、コンパウンド（多関節）種目と呼ばれる複数の関節を動かす種目があります。アーノルドプレスは、コンパウンド（多関節）種目に分類され、複数の関節を同時に動かすことによって、複数の筋肉に負荷をかけて、効率良く複数の部位を鍛えることができる種目です。

アーノルドプレスとショルダープレスの違い

「アーノルドプレス」はダンベルを上げ下げする「ショルダープレス」の動きに腕のひねりを加えることで、より可動域を大きく使うフォームです。アーノルドプレスの動作において、前半は脇を開いていく動きとなるため「サイドレイズ」のような負荷がかかり、後半は「ショルダープレス」のように肩の側面と前側の両方に刺激が入ります。「アーノルドプレス」は「ショルダープレス」よりも効果の大きい種目だと言われている一方で、コントロールが難しいため、初心者は「ショルダープレス」でフォームを確認してから「アーノルドプレス」にチャレンジすると良いでしょう。

アーノルドプレスの動作

ショルダープレスの動作

ショルダープレスの動作

ダンベルアーノルドプレスの適切な重量・回数の目安

筋肥大を目指したい場合

ダンベルアーノルドプレスで筋肥大を目指す場合、10～12回で限界が来る重量を設定することが基本ですが、重量が重くなるほど難易度は上がります。低重量でも正しいフォームで限界まで追い込むことができれば、同等の効果が得られます。

頻度とセット数については、初心者の場合１部位当たり週1回3セットほど、上級者の場合は１部位当たり週2回6セット程度を目安に行いましょう。

筋持久力を高めたい場合

筋肥大をそれほど期待せずに、筋持久力を高めたい場合は重量を上げすぎないことが大切です。15回以上行ったときに限界が来る重さでトレーニングを行いましょう。

ダンベルアーノルドプレスの正しいフォーム

準備

アーノルドプレスのスタートポジション

ベンチまたは椅子に座りダンベルを左右の太腿に置く
両手に自分が安全に持てる重さのダンベルを持ち、肘を曲げて脇を締め、手の平が顔側に向くようにする
胸の高さに肘がくるように高さを調整する（スタートポジション）

動作

アーノルドプレスのフォーム①

アーノルドプレスのフォーム②

スタートポジションの状態から、腕を外側にひねりながらダンベルを肩の上に持ち上げる
上げたときとは逆回転にひねりながらゆっくりスタートポジションに戻る

注意事項

腕を降ろすときは、肘を下げ過ぎないよう注意する
ダンベル同士が接触すると安定性が失われて、身体の上に落ちたり怪我をする恐れがあるので注意する
痛みや違和感が出たらすぐにトレーニングを中断をする

アーノルドプレスのやり方

安定した動作を意識する

どの種目でも共通して言えることですが、ダンベルアーノルドプレスは複雑な動きをする分、正しいフォームを意識してより効率的に、安全にトレーニングをしましょう。セット後半で疲れてくると、ダンベルを持ち上げる腕が身体の真上まで上がらなかったり、背筋を曲げた姿勢で行ってしまう場合があるので注意しましょう。

複雑な動きをする種目なので、初心者の場合は鏡を見ながら自分でフォームをチェックしたり、友人やトレーナーに動きを確認してもらいながら行うのがおすすめです。
アーノルドプレス解説_背筋を曲げない、目線は正面
▲目線を正面に向けて、背筋を伸ばした姿勢で行う

初心者は軽いダンベルから上げていく

アーノルドプレスは、慣れていない状態でいきなり高重量を扱うとフォームが崩れてしまい、怪我のリスクがあります。安全にトレーニングを行うためにも、自分が扱える重さを把握してトレーニングを行うことが重要です。

ダンベルアーノルドプレスを安全に行うために、まずは動きをコントロールできる軽いダンベルから徐々に重さを上げるようにしましょう。

上げ下げのスピードにメリハリをつける

ダンベルアーノルドプレスのトレーニング中は、ダンベルの上げ下げをスピードにメリハリをつけるのがおすすめです。具体的には、ダンベルを降ろすときの動きをゆっくり、上げるときの動きを少しだけ早くするのがおすすめです。

アーノルドプレスの動作解説_上げるときに早く

アーノルドプレスの動作解説_下げるときはゆっくり

正しい呼吸方法を意識する

ダンベルアーノルドプレスのトレーニング中は、呼吸を止めないことを意識しましょう。特にダンベルを持ち上げる際には、全身に力が入り、つい呼吸が止まってしまいがちです。呼吸を止めたままトレーニングすると酸欠になったり、めまいを起こしてしまうリスクがあるので注意してください。

ダンベルを下げていくときに鼻からゆっくりと息を吸いこみ、ダンベルを持ち上げるときには腹部を締めながら息を吐き出す意識をしてください。

関連記事：トレーニングを安全で効果的に行うための正しい呼吸法

アーノルドプレスの間違ったやり方

フィニッシュポジションで腕を伸ばしきってしまう

肘を最後までのばしきってしまうと、腕にロックがかかって骨や関節で重量を支えてしまうため、肩にかかる負荷が抜けてしまいます。

腕を伸ばしきる直前で止めて、ゆっくりと降ろすように注意しましょう。

アーノルドプレス解説_肘を伸ばしきらない

ダンベルの上げ下げと回旋動作を別々で行ってしまう

ダンベルを上げる動作と、腕のひねり運動が別々になってしまうと、ひねる動作に重力がかからず、期待する負荷が得られなくなってしまいます。ダンベルを回しながら挙上することによって、肩の側面と前面に強い負荷を感じながらトレーニングを行うことができます。

アーノルドプレス解説③_腕のひねりとダンベルの上げ下げ

首や肩がすくんでしまう

肩がすくんで上がった状態で行うと、肩に痛みが出る可能性があります。ダンベルアーノルドプレスを行うときには、広範囲にわたり肩を動かしていく必要があるので、肩甲骨を柔軟に使えるように、肩を下げる意識で行うようにしましょう。

ハンドルチューブを使ったアーノルドプレスのやり方

アーノルドプレスは、高重量のダンベルをつかって肩を鍛える種目ですが、一般的には様々な重量のダンベルが揃っているジムやフィットネスクラブで行うことの多い種目です。自宅でトレーニングをする場合、サイズのコンパクトなハンドルチューブを使って、ダンベルの代用をしたハンドルチューブアーノルドプレスがおすすめです。ただし、ハンドルチューブアーノルドプレスの場合は、ダンベルのような遠心力が働かないぶん、やや効果が落ちるところは注意が必要です。

準備

ベンチまたは椅子に座りチューブを両足の下に通す
チューブの張力が抜けない長さに調整して脚で踏んで固定する
ハンドルを両手で持って脇を締め、手の平を自分に向けて構える（スタートポジション）

動作

スタートポジションの状態から、腕を外側にひねりながらハンドルを引っ張り上げる
ハンドルを肩の真上まで引っ張り上げたら「1」と逆回転にひねりながらゆっくりスタートポジションに戻る

注意事項

首や肩がすくまないようにする
腕を降ろすときは、肘を下げ過ぎないよう注意する
トレーニング中に痛みや違和感を感じたらすぐに中止をする

参考記事：

ハンドルチューブアーノルドプレスの正しいやり方｜WITH Fitness magazine

アーノルドプレスをマスターして肩を鍛え上げよう！

この記事ではアーノルドプレスのやり方についてご紹介しましたが、いかがでしょうか。「ショルダープレス」の応用種目であるアーノルドプレスは、肩周りを効率よく鍛えることができるため、男らしい肩周りを作りたい筋トレ好きにぜひおすすめしたい種目です。動きがやや複雑で難しいため、慣れるまではまず「ショルダープレス」をはじめとした他の種目から練習してみるのが良いでしょう。